ブロックストリームのアダム・バックCEOは、ビットコイントレジャリー企業を、現行の法定通貨金融システムとビットコインが世界経済を支配する未来との間のアービトラージ(裁定取引)として位置づけた。
同氏の発言は、ストラテジーによる積極的なビットコイン大量保有の戦略や、勢いを増す類似の企業動向に知的裏付けを与える。
アダム・バック氏の整理は簡潔である。
これは、現在の価格でビットコインを購入する企業が2つの要因から利益を得ることを意味する。第一に、ビットコインの普及が加速する。第二に、法定通貨はインフレや政策の誤りによって価値が下落する。この2つの結果のギャップが、早期に積み増した企業に大きなリターンをもたらす。
バック氏の主張は、ビットコイン保有企業が従来型の株式運用ではなく、体制転換にかける非対称な投資であることを示唆する。
バック氏の議論は、ビットコインが最終的に世界的な価値保存手段となることを前提とする。この未来において、ビットコインは国際商取引や各国の外貨準備を支える基軸資産となる。
この転換前にビットコインを積み上げた企業は莫大な恩恵を受ける。保有資産が値上がりするだけでなく、ビットコインの利用・受容拡大によりさらに価値が高まる。
このビジョンは、マイケル・セイラー氏による「ビットコインが1枚1,000万ドルに達する」という最終予測とも通じる。これはデジタル信用フローや機関投資家の採用拡大によるもの。
しかし、バック氏の強気な見解には強い懐疑も向けられる。ピーター・シフ氏は、ストラテジーのビットコイン戦略は根本的に誤りであると述べており、今後の配当負担増がハイパービットコナイズ前に売却を余儀なくさせると指摘する。
シフ氏は、マクロ経済環境が悪化した場合、暗号資産価格が急落する可能性にも警鐘を鳴らし、現在の大量購入は経済合理性を欠くと主張する。
一方で、エリック・トランプ氏は最近ビットコインが100万ドルに達すると予測し、短期的な変動があっても将来性への自信をトランプファミリーが示した形。
バック氏のフレームワークは、なぜ上場企業が積極的に資金調達しビットコインを購入しているかの説明材料となる。ハイパービットコナイズ論が現実となれば、早期の積み増しで膨大なリターンが得られる。
ストラテジーはこの動きを先導し、81万5061ビットコインを保有、評価額は634億6000万ドル。他社も同様の戦略を検討しており、ビットコインが相対的に割安なうちに獲得競争が過熱している。
アービトラージ論は、「今ビットコインをためらうことは、ハイパービットコナイズが想定より早く進行した場合に大きなコストとなりうる」と示唆する。
アダム・バック氏のアービトラージ論は、ビットコインをトレジャリー戦略の知的基盤として位置づける。投機的資産ではなく、法定通貨システム崩壊に対する合理的なヘッジとして捉える。
このアービトラージ理論が現実となるかどうかは、ビットコインの普及と法定通貨制度の真のストレス次第である。現時点でハイパービットコナイズに賭ける企業は、上昇余地の大きい非対称な投資をしている構図で、現状のバリュエーションからは下値余地も限定的だ。


