エヌビディア株は、5月14日に過去最高値となる236ドルを付けた後、223ドルで推移している。最新の決算が売上高・利益とも市場予想を上回ったにもかかわらず、複数のチャートが大口投資家の資金流出を示している。
5月20日の決算発表は表面的には好内容であった。しかしチャートは異なる展開を示しており、大口資金のフロー、モメンタム、個人投資家のオプションポジションはいずれも上昇トレンドに対し弱含みに転じている。
エヌビディア(NVDA)は、3月30日の164ドルから5月14日の236ドルまで44.05%上昇した。この動きは規模と形状から、強気のフラッグパターンのポールを形成する展開とされる。天井形成後の調整過程はフラッグの初期構造を持つ。出来高を伴う上放れが確認されれば、さらなる上昇が示唆される。
さらに詳しいインサイトをご希望の場合は、編集者ハルシュ・ノタリヤが毎日お届けするニュースレターにご登録ください。こちら。
強気シグナルに最初の陰りをもたらしているのは、チャイキン・マネー・フロー(CMF)である。CMFは出来高を加味した売買圧力を測定し、大口資金の蓄積を示す指標である。CMFは4月28日に0.57でピークを付けたが、5月21日には0.09まで低下した。この間、エヌビディア株は5月14日に向けて上昇していたが、CMFは下降トレンドをたどった。これは典型的な弱気のダイバージェンスである。
5月20日の決算発表もこの流れを変えることはなかった。
表面的な好決算の裏側では、粗利益率は75%で推移し、市場期待を上回ることができなかった。NVIDIAの2026年度10-Kレポートによると、特定の1顧客が売上の22%を占め、棚卸資産と供給契約残高は952億ドルまで拡大している。ウォール街では、見かけ上の好決算の陰にこうした構造的なリスクを織り込み始めている可能性がある。
大口資金の流出だけではない。モメンタムと個人のポジション動向も同調し始めている。
次のシグナルはモメンタム指標で表れる。直近の変動幅を0~100で示すRSI(相対力指数)は、現在61.85となっており、シグナルライン62.97を下回っている。
4月27日から5月14日にかけて、エヌビディア株は高値を更新した一方、RSIは下値を切り下げる展開が見られた。これは典型的な弱気のダイバージェンスであり、トレンド転換や大幅調整につながる可能性がある。次のローソク足が226ドルを下回ると、RSIのダイバージェンスがより明確になる。
3つ目のシグナルは個人投資家とディーラーのヘッジ動向から見られる。
エヌビディアの出来高ベースのプット・コール比率は、決算直前の5月20日時点で0.38だったが、決算発表後には0.46まで上昇した。建玉比率は0.79と決算前の0.80からわずかに低下した。全体としてコール優勢は続くが、決算発表以降、プットの積み増し傾向が明確となっている。
同様の傾向は2月25日の決算前後でも見られた。当時、プット・コール出来高比率は0.55から3月初旬には0.69に急騰し、エヌビディア株は195ドルから183ドルまで下落した。決算後のプット買い増しは、過去も短期的な下押し圧力となっていた。
大口資金のフロー、モメンタム、個人投資家のヘッジ対応――3つの要素がいずれも同一方向を示す中、最終判断は価格チャートに委ねられる展開となる。
Nvidia株価チャートは、強気フラッグが維持されるか崩れるかを左右する重要な水準を示している。44.05%のフラッグポールによりフラッグが確認された場合、フィボナッチ・エクステンションの目標値が複数示され、245ドル(0.382)、253ドル(0.5)、262ドル(0.618)、274ドル(0.786)、289ドル(1.0完全エクステンション)となる。
ブレイクアウトを確認するには、Nvidia株価が227ドルを持続的に上回って引け、その後234ドル及び236ドルの直近高値を回復する必要がある。236ドルを出来高を伴ってしっかり上抜ければ強気フラッグが確認され、上記のフィボナッチ目標値への道が開かれる。
下値については、226ドルが直近の分岐点となる。226ドルを回復できなければRSIの弱気ダイバージェンスが確認され、現在の押し目のスイング安値217ドルが意識される。217ドルを割り込むと強気フラッグの形状が大きく崩れる。194ドルを下抜けた場合、フラッグ自体が無効となり、上昇トレンド全体が一段の下落にさらされる展開。
注意すべきポイントとして、強気フラッグが必ずしもフラッグポール方向に決着するとは限らない。CMF、RSI、プット・コール比率が同時に弱気を示す局面では、強気派の説得力が問われる。
226ドルの水準は、236ドルや上方のフィボナッチ目標値へのブレイクアウト・リテストと、弱気ダイバージェンスに基づく217ドルもしくは194ドルへの下落の分岐点となる。