米連邦準備制度理事会(FRB)の新議長となったケビン・ウォーシュ氏は、静かな船出とはならなかった。5月22日、FRB議長として第17代目に就任してから、すでに3週間が経過した。2006年、史上最年少35歳で理事会に初めて参加した同氏は、「レジームチェンジ」、すなわちインフレ抑制の強化とFRBのバランスシートの見直しを約束して始動した。
その矢先に5月の雇用統計が発表された。米経済は17万2000人分の雇用を創出し、予想の8万5000人を大きく上回った。債券市場では12月の利上げ確率が68%まで上昇した。
上院での承認投票は、54対45で可決となり、FRB史上で最も賛否が割れる結果となった。そのため初日から波乱含みの任期が示唆された。
ウォール街はこの人事を、政策金利の流れが変わらないサインと受け止めた。2008年の金融危機時、同氏はベン・バーナンキ議長とともにタカ派寄りだったが、アナリストは今回の2度目の登板ではパウエル路線に近い運営になるとみていた。
同氏が掲げる「レジームチェンジ」という言葉は、多くの専門家が内部改革を示唆するものであり、利上げ政策そのものの転換ではないとの見方が優勢だった。
この状況下でウォーシュ氏は、6月17〜18日のFOMC会合で金利据え置きを維持し、レジームチェンジが「組織改革」であって金融政策の方向転換でないことを示すか、あるいは利上げを支持してインフレ抑制への本気度を証明するか、選択を迫られている。
ビットコインETFの資金流出が過去最長を記録し、利上げへの警戒感が強まるなか、市場はFRBの見通しを数週間にわたり織り込み直している。
ウォーシュ氏は、歴代FRB議長の中で最も暗号資産に精通している。過去にはビットコインやステーブルコイン事業への関与歴があり、中央銀行デジタル通貨(CBDC)には反対し、民間主導のステーブルコインを支持してきた。
ただし暗号資産寄りかどうかにかかわらず、金融政策の論理が優先される。ビットコインは5月中旬の8万2000ドル台から6万ドル台前半まで下落しており、この動きは同時期の利下げ観測の後退とほぼ連動している。
BeInCryptoが既報の通り、ゴールドマン・サックスなどが利下げを予測していた時期には、ビットコイン相場も全く異なる政策シナリオを織り込んでいた。
ウォーシュ氏の暗号資産への理解は、FRB議長として誰よりもレート決定がデジタル資産に与える影響を認識していることを意味する。
2026年6月のビットコイン価格分析では、次の明確な方向感は6月17〜18日のFRB会合で据え置きか利上げか、シグナル次第で決まるとされる。
利上げ強化であれ、あるいは発信の強化であれ、ビットコイン投資家が注視するのは6月17〜18日のFRB会合。

