Blockstreamのアダム・バックCEOが、Telegramの新たにリブランディングされたグラム(GRAM)トークンのインフレ構造について公に疑問を呈した。きっかけは、テレグラム創業者パーヴェル・ドゥロフ氏がビットコイン(BTC)を政府による通貨増刷への防御策として称賛したことだ。
このやり取りはX上で拡散した。ドゥロフ氏はインタビューで、各国政府が執拗に通貨供給量を拡大するのに対し、ビットコインが異なる道を歩んでいると主張した。長年サイファーパンクの活動を続け、ビットコインのコア開発者でもあるバックCEOは、そのスレッド内で「誰かがGRAMを発行し続けているのでは」と直接指摘。これはGRAMにインフレ型発行スケジュールが存在する点を示唆した発言だ。
ドゥロフ氏は10年以上にわたり、個人の主要な資産保全先としてビットコインを保有してきた。2013年に約2000BTCを、1枚あたり700ドル前後で取得したとされ、その後も複数の相場サイクルを通じてポジションを維持。そのビットコイン資産は、従来型収益なしで運営した時期のTelegramの運営資金を補ったとも報じられている。
こうしたビットコイン推進姿勢の一方で、Telegramエコシステムは数年ぶりの大規模トークン転換を完了した。Telegramの独自トークンはToncoinからグラムへと名称を変更。かつて2018年のホワイトペーパーに記載のあった名称が復活した格好だ。これは米規制当局の指摘で一時中断していた計画を再始動したもので、保有者側の手続き不要で1対1で自動変換された。各取引所も新たなティッカーに即応し、表示を切り替えている。
2,100万枚で自動的に上限が定められているビットコインとは対照的に、グラムには同様の供給上限がない。ネットワークはバリデーターの報酬として毎日新規トークンを発行しており、年間インフレ率は約0.3%から0.6%で推移。現在のトークン総供給量は約52億枚に達している。発行上限は暗号的な制約ではなく、今後のガバナンス判断に委ねられている。
バックCEOは、ビットコインの通貨としての信用は「固定かつ検証可能な新規発行スケジュール」によるものであり、いかなるガバナンス決定もこれを覆せない点にあると主張。2026年にも、同様の論点から物議を醸したビットコインのフォーク提案を「コアルールを変更するなら、それは新たな資産であり、アップグレードではない」と否定している。
一方、グラムの新規発行はネットワークのバリデーターによる調整に委ねられており、外部圧力に左右されないプロトコル規則ではない。この点がバックCEOによるドゥロフ氏への核心的な問いかけである。
議論の焦点は最終的に、ビットコインの固定的な金融ルールと、グラムのバリデーター主導型発行モデルの違いに集約された。Telegramエコシステムにおけるグラムの位置付けを巡る議論は今後も続きそうだ。
より広い文脈では、デジタル資産が長期的な価値保存手段となる条件や、そこにおける金融政策の役割を問う議論が続いている状況だ。


