イーサリアム(Ethereum)は数週間ぶりの最安値に沈んだ。「きょうイーサリアムが下落した理由」を問う多くの投資家は、全面的な売りが主因だと分析している。しかし、注目すべきは、この急落で誰が買い手に回ったかという点である。
売り圧力は現実であり、イーサリアム価格の下落率はビットコインより大きい。しかし今週最大の下げ局面で、イーサリアムはビットコインが下抜けた水準を割らずに踏みとどまった。また、大口保有者は売り手から買い手へ転じた。
過去1か月で、ETHは約21%下落し、ビットコイン(BTC)のおよそ20%下落よりやや大きい。直近1週間ではETHが約5%下げ、BTCは3.7%下落だった。
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数字だけ見れば、イーサリアムはより弱い資産である。これが一般的な解釈であり、多くの分析はこの時点で止まる。一方で、興味深いのはタイミングだ。市場全体が6月24日に急落した際、ビットコインは6月初旬の安値付近、約5万9000ドルまで新たに下げた。
イーサリアムは追随しなかった。安値は前月初の水準より上となり、早い段階で付けていたサポートを守った。これは弱気ストーリーにおける最初のほころびである。
ただし、売りが弱まっていなければ「高値切り上げ」自体には意味がない。
6月5日に巨大な売りボリュームが発生したが、その後は月内を通じて徐々に下火となった。
6月23日から24日にかけて一時的に売りが強まったが、6月5日のピーク時には程遠い水準だった。急落のきっかけとなった初動の売りが息切れした形だ。
売り手の勢いが落ちる中、イーサリアムのクジラは逆方向に動き始めた。サンティメントの「Supply Held By Whales」(大口非取引所ウォレットのETH保有量)は、6月18日の約1億2568万枚から6月22日には1億2523万枚に減少。しかし月末の急落局面では約1億2530万枚へと回復した。
オンチェーンの監視データでも、大口ウォレットが急落中に取引所からETHを引き出している動きが確認された。これはクジラによる静かな買い集めで、残りわずかな供給量を吸収している構図を示唆する。
ただし、そうしたウォレットが支えるネットワークが閑散化していれば、クジラの買いも空虚である。
イーサリアムのDEX取引高、つまり分散型取引所での取引額は、6月22日の約9億ドルから6月24日には13億ドルへと約36%増加した。したがってネットワーク内のウォレットは減っていない状況である。
同日には取引件数も39万件超まで回復した。これは下落局面でもオンチェーンの活動が盛り返したことを示す。
6月5日の投げ売りによる約30億ドルと比べれば、最近の増加は落ち着いた印象である。投資家は今回の下値をパニックではなく、冷静に受け止めている。
ベースレイヤーも同じ傾向だった。イーサリアムネットワークの日次取引件数は6月21日から24日の間、1週間前の190万件を上回る270万件近くを維持。アクティブウォレット数も6月24日、前日比で約637,000まで増加した(前日は514,000件)。
イーサリアム上に留まるステーブルコインの総額はおよそ1580億ドルで推移し、1週間で2%減にとどまった。価格が下落しても、ドル資産はチェーン上に留まった。
安定した利用と再び現れたクジラによる買い注文が相場を支える。あとはチャートの動向がこれを裏付けるかどうかに注目。
イーサは1655ドル付近で推移しており、0.236フィボナッチ水準(1633ドル)のやや上にある。
分岐点となるのは1551ドルで、これは6月24日の高値安値圏に相当する。ビットコインが新安値をつける中、この水準でのサポートは維持されており、6月上旬の1505ドル付近の底値を上回っている。
買い方が主導権を取り戻すには、1683ドル・1724ドル、最終的には1765ドルの奪還が必要。このゾーン突破で、およそ7%の上昇に相当する動きとなる。
この価格帯を突破すれば、ビットコインの反転よりも前にイーサリアムが値を戻す展開も見える。ただし、出来高の薄さはリスクでもあるため、1つの大きな売買フローで一気に流れが変わる可能性もある。日足終値が1551ドルを下回れば、上値切り上げのパターンが崩れ、再び1505ドルを試す展開となる。
1551ドルのサポートは、クジラ主導のイーサ反発を早々に終わらせるか、6月安値への再下落かの分水嶺となる。

