パイネットワークは「Pi2Day 2026」で3つのプロダクトを発表し、外部開発者向けのユーティリティツールとして位置付けた。しかし、いずれも現時点で付加価値は限定的で、パイ(PI)は約8%下落し、最安値を更新した。
PI保有者にとっての問いは明快だ。これらのリリースはトークンに実需をもたらすのか、それとも将来への可能性にとどまるのか。現時点で得られる証拠では、実需は「将来」に偏っている。
パイコアチームは、Pi2Dayの公式ブログでリリース内容を詳細に説明した。「SoloHost」が主力の新サービスだ。このフレームワークにより、開発者はユーザー自身のPC上で動作するローカルAIアプリを掲載できる。この機能は利便性が高いが、PIは利用しない。
デモアプリ「Hermes」はデバイス上でAIエージェントを無償実行する。PIによる上位ノード約100人への分散型コンピューティング報酬機能は開発中。アプリ審査も不要のオープンかつ承認不要のディレクトリとなる。
この仕組みは、暗号資産業界で議論を呼んできた承認不要デザインの主張とも重なる。
「Pi Sign-in」は他社サービスへのログイン手段(外部認証)として初期バージョンが提供開始された。GoogleやAppleでのサインイン同様に利便性を高めるが、トークンは不要。
大手取引所クラーケンも、同様のニーズで独自の暗号資産アイデンティティ認証ツールを試験運用している。
「PiVerify」のみが例外だ。同機能では、すでに1800万人以上の本人確認で使ってきたパイの認証機能が外部事業者向けに公開される。フィンテックやWeb3関連の取引先はPIで支払う。
この支払いが、トークン需要の明確な新規供給源となる。
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ただし、実需はパイがSumsubやJumioといった既存大手ベンダーより選ばれた場合に限られる。さらに、同サービスはワールドコイン(WLD)が主導するパーソンフッド証明市場でも新規参入組となる。
市場は即座に反応した。PIは最安値を記録し、0.117ドル近辺で取引された。1日で約8%下落した(BeInCrypto調べ)。
PIは2025年2月、パイが外部にメインネットを開放した際に過去最高値3.00ドルをつけた。以降、価格は約96%下落。直近の値動きは機能価値より供給過多を映す。
1日の取引高は約1400万ドルと時価総額127億ドルと比較して低い。流通供給量は1000億枚上限に向けて拡大中で、既に約58億PIが発行済だが未上場。
新たなトークン供給の増加が、今回のリリースでは吸収しきれないほど価格押し下げ要因になっている。
これらの新プロダクトは利便性を拡張したのみ。実際にPIを動かすのは「PiVerify」と未完成のコンピュート市場のみだ。
外部顧客が大規模に利用し始めるまで、PI価格の見通しは、発表内容よりも引き続きトークン供給量が主な要因になる。


