米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス委員長は3日、FOXビジネスの番組「Mornings with Maria」に出演し、米国の金融システムが過去数十年で最大級の変革期にあるとの認識を示した。同氏は、電子取引とブロックチェーン技術の急速な進展により、市場の「トークン化」が今後数年以内に米国市場の中核的な機能になる可能性があると予測している。
アトキンス氏はインタビューで、市場の次の段階は「デジタル資産化およびトークン化」であると明言した。この移行スピードについて「世界はその方向へ進んでいる。10年もかからないだろう。今から数年後という短期間で実現する可能性すらある」と述べ、市場の予想を上回る速さで普及するとの見通しを示している。
トークン化がもたらすメリットについて、同氏は「予測可能性」と「透明性」の向上を強調した。特に、ブロックチェーン上での決済(オンチェーン決済)が、取引の執行から最終決済までのタイムラグを解消することで、従来のリスクを低減できると説明している。
アトキンス氏は、規制当局の姿勢が変化している点にも言及した。過去のSECについて「イノベーションを推進するどころか、市場の前に立ちはだかっていた」と批判。その上で「現在は新技術を積極的に受け入れており、米国を暗号資産(仮想通貨)の最前線に保つためにはこの姿勢が不可欠だ」と語った。
また同氏は、かつて米国と中国が「暗号資産を違法化しようとした唯一の2国」だったと振り返り、現在はそこから決別したと述べた。「今は新しい時代だ。新技術を米国のルールの下で機能するよう、国内に取り込む(オンショア化する)必要がある」と主張している。
アトキンス氏の発言は、米国の規制方針が「排除」から「統合」へと完全にシフトしたことを裏付けている。特にトークン化の実現時期を「数年以内」と具体的に見積もった点は、暗号資産市場にとって強力な材料だ。
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