ビットコインは8日から現在にかけて、9万ドル付近から9万2,000ドルまでの小幅なレンジ帯を推移している。一部のアナリストからはポジティブな見方が示されているものの、強気再開への決め手には欠ける状況だ。
機関投資家向けレポートを提供するビットコイン・ベクターは9日、公式Xにてオンチェーン分析企業、グラスノードの共同創設者であるNegentropic氏の投稿を引用しつつ「流動性が再び拡大することで、リスク資産が主導権を握るだろう」との見解を投稿した。
引用元では、米国小型株の価格動向を示すRussell 2000(ラッセル2000)が直近高値をブレイクしたことで、ビットコイン・アルトコインが最高値に向かって垂直に上昇する可能性を示唆している。
これを踏まえ、ビットコイン・ベクターはビットコインとラッセル2000のチャートを比較する画像を共有。過去にラッセル2000が直近高値を更新し、かつビットコインの値動きが底値から上向いたケースでは、その後390%もの上昇を記録している。
現在も過去の高騰時と同じようなパターンが形成されており、同様の展開が期待されるが、FRBの金融引き締め終了による市場の流動性拡大が、相場転換のきっかけになるとビットコイン・ベクターは指摘している。
暗号資産トレーダーのDaan Crypto Trades氏は9日、自身のXにて「強気市場のサポートバンドが近づいている」と指摘。
歴史的にビットコイン価格のBull Market Support Band(強気市場サポートバンド)上抜けは、上昇トレンドの再開を示唆している。ここ2カ月でバンドの位置は徐々に低下し、現価格との乖離幅は14%程度にまで狭まった。
Daan Crypto Trades氏は、より大きな時間枠の弱気相場においても、バンドの価格帯を再度試す可能性が高いと強調しつつ「すぐに再テストが起こるとは限らず、それまでにバンドの価格帯が変化している可能性もある」と締めくくった。
一方、ビットコインのオンチェーン・アナリストであるOn-Chain Mind氏は9日、自身のXにて「まだ本当の底には達していない」と、投資家に向けて注意喚起した。
On-Chain Mind氏が着目したのは、相場の転換点を示すオンチェーンデータのVolatility Fractals(ボラティリティ・フラクタル)だ。市場が蓄積・上昇フェーズに入る前段階には、この指標が低水準を推移する必要があるとのこと。実際過去のトレンド転換点を見ると、すべてのケースでボラティリティ・フラクタルが大きく低下している。
しかし現在の水準は、10月の瞬間的なスパイクよりは低下しているものの、依然として高い位置をキープしていることから「本当の底打ちを確認できる状況ではない」と結論づけた。
オンチェーンデータからは、強気相場再開を示す確度の高いサインはまだ確認されていないが、少なからず市場センチメントの改善を示唆する動きが見られる。10日・11日にはFOMCが控えていることもあり、相場転換の可能性もあることから、高いボラティリティに注意が必要な局面といえるだろう。
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