法人口座を開設する際に気になるのが、ATMでの入出金や振込にかかる手数料。ネットバンクの利用手数料が無料だったり振込手数料が安いと、取引先と頻繁に資金のやり取りをしてもコストを抑えられておすすめです。しかし、ネット銀行など法人口座の開設ができる銀行は多く、当日振込可能な時間もさまざま。審査のポイントなど、法人口座を作りやすい銀行はどこなのかも気になりますよね。
今回は、人気の法人口座12サービスを、4つのポイントで比較して徹底検証。おすすめの法人口座をランキング形式でご紹介します。マイベストが定義するベストな法人口座は「各取引を低コストで行え、いつでも振り込みできる使いやすい口座」。徹底検証してわかった法人口座の本当の選び方だけでなく、開設時に必要な書類や準備についても紹介しますので、ぜひ口座開設の際の参考にしてください。
マイベストではベストな法人口座を「各取引を低コストで行え、いつでも振り込みできる使いやすい口座」と定義。そんなベストな法人口座を探すために人気の法人口座12社を集め、以下4つのポイントから徹底検証しました。検証①:ネットバンキングの月額利用料検証②:振込手数料検証③:当日振込可能時間検証④:使いやすさ
おすすめスコア:4.88(2025/08/15時点)
創業期に法人口座を作るならここ!コスト・使いやすさともに優秀
「GMOあおぞらネット銀行」は低コストかつ利用できるサービスも多いので、起業したばかりの法人におすすめの口座。他行あての振込手数料は最安クラスで、検証で設定したサービスにも幅広く対応しています。振込手数料は同一行内の振込であれば無料で、他行あても振込額に関係なく143円。これは比較した法人口座の平均298円より割安な水準です。さらに、ネットバンキングの月額利用料も発生しないので、コストをできるだけ抑えたい創業期にうってつけの法人口座といえます。当日振込可能時間が長いのも魅力。振込先の銀行によるものの、24時間いつでも当日扱いで振り込みできます。急な支払い依頼に対しても即座に対応できるでしょう。また、幅広いサービスに対応していることから使いやすさも優秀。とくに、利用機会の多い口座振替や総合振込を無料で利用でき、ネットバンキングで使えるアカウントも100個作成できる点は魅力的です。コスト・使いやすさのバランスが良い法人口座の最有力候補といえます。
おすすめスコア:4.84(2025/07/09時点)
使いやすさ重視の人は要チェック!Visaデビットカードも利用できる
「PayPay銀行」は使い勝手が良く、VISAデビットカードを審査なしで利用できます。幅広いサービスに対応しているうえ、Amazonビジネスで社内の備品などを法人価格・数量割引が適用された価格で購入できるので、利便性の高さを重視しているならおすすめのネット銀行です。当日振込可能時間が長い点が魅力。振込先の銀行によるものの、24時間いつでも振り込みできます。急な支払い依頼にも応えられる法人を目指す人には便利な法人口座といえるでしょう。また、幅広いサービスに対応しており、使いやすさも優秀な成績です。Pay-easyにも対応しており、口座振替だけではカバーできない支払いにも対応可能。有料とはいえ総合振込も利用できるので、利用できるシーンが幅広い法人口座といえます。振込手数料は同一行内でも手数料が発生する点から一般的な水準でした。とはいえ、どの振込金額・振込先でも今回検証した法人口座の平均より割安で、ネットバンキングの月額利用料も発生しない点は魅力です。創業期で余計なコストを抑えたい法人にも選択肢に入る口座といえるでしょう。
おすすめスコア:4.83(2025/07/09時点)
手数料のコストが業界最安水準。振込は24時間当日扱い
三井住友銀行の「Trunk」は、2025年5月にサービスを開始した新しい法人口座です。スタートアップ、小規模法人が主な利用対象となっており、「三井住友銀行ではじめて法人口座を開設すること」が利用条件の1つとされています。すでに三井住友銀行で法人口座を開設している場合は利用できない点に注意が必要です。魅力はコストの低さ。ネットバンキングの月額利用料が無料で、同行あての振込手数料が0円、他行あても145円と、業界でもトップクラスの低価格帯を実現しています。頻繁に振込業務を行う法人にとって、大幅なコスト削減が見込める点は大きな魅力です。総合振込や口座振替にも対応しており、日常的な業務処理に関連する手続きは基本的に可能です。これから法人口座を開設する事業者にとって、スタートラインとしてバランスの取れた機能構成です。当日振込可能時間は23:59までと、夕方以降に緊急性の高い送金があっても対応できるのがメリット。1日中他行宛の即時振込が発生する企業でも問題なく使える法人口座と評価できます。
おすすめスコア:4.81(2025/07/09時点)
振込優遇プログラムで手数料がさらにお得に。頻繁に振込をするなら
「住信SBIネット銀行」はコスト・使いやすさだけでなく、資金繰りなどの支援サービスも気になる人におすすめの口座。低コストかつ幅広いサービスに対応しており、助成金・補助金の診断・相談を受けられ、取引データから審査して融資が受けられる融資商品もあるため、資金需要が発生したときに頼りになるネット銀行といえます。検証では、とても割安なコスト面がうれしいポイントでした。ネットバンキングの月額利用料は無料で、振込手数料も同一行内であれば無料です。他行あての振込手数料も145円と比較した法人口座のなかで最も安く、コストを気にせず取引したい人に注目の法人口座といえます。また、振込優遇プログラムにより振込回数50回の条件をクリアすれば、他行宛ての振込手数料が130円にまで下がる点もメリットといえます。当日振込可能時間も23:59までと、ほぼ1日中振り込みできる点も魅力的です。振込先の銀行の対応状況にもよりますが、基本的に時間に縛られず資金移動ができる銀行といえるでしょう。加えて、口座振替や総合振込などにも無料で対応しており、使いやすさも優秀な成績でした。総合振込で一度に処理できる件数も9,999件と非常に多く、Pay-easyにも対応しているため、決済面で困ることは少ないでしょう。コスト面の安さもあり、取引先とのやりとりが多い法人なら選択肢に入る法人口座といえます。
おすすめスコア:4.77(2025/07/09時点)
ネットバンキングが無料で利用可能。資金移動のサービスも豊富
「楽天銀行」は、国内最大級のオンラインショッピングモールを運営する楽天グループ傘下のネット銀行です。業務委託契約書などに不利な内容がないか診断するサービスや、見積書や請求書の作成・送付・入金を効率化するサービスなど、会社経営を助けるサービスが充実しています。起業したてで社内バックグラウンドを強化したい法人には魅力的なネット銀行といえるでしょう。検証では、ネットバンキングの月額利用料が発生しないことから、コスト面が優秀な成績でした。振込手数料は同一行内だと52円、他行あてでも3万円以内なら150円と比較した法人口座の平均より安いので、コストを気にせず取引できる法人口座といえます。また、当日振込が24時間できることに加え、資金移動サービスにも幅広く対応していました。口座振替や総合振込だけでなく、Pay-easy・海外送金も利用できるため、使いやすさは優秀な成績です。資金移動を効率化したい法人にとっては、検討の価値ありな法人口座といえるでしょう。
おすすめスコア:4.3(2025/07/09時点)
振込手数料は低コスト。使いやすさを求める法人にはやや不向き
「イオン銀行」は、東京と大阪に法人営業の拠点を持つ実店舗型の銀行です。「イオン銀行ビジネスネットサービス」という、法人向けネットバンキングサービスを提供しています。体験版を利用できるので、開設前に使いやすいサービスか探れるのは魅力的です。ただ、口座開設には対面での手続きが必要なので、時間がかかる可能性がある点には注意してください。検証では、振込手数料は割安な水準でした。同一行内の振込なら無料で行え、他行でも3万円未満なら220円と比較した法人口座の平均より安く取引できます。ネットバンキングの月額利用料は2,200円と高めですが、振り込む機会の多い法人なら一考の余地ありな法人口座です。使いやすさは一般的な水準ですが、Pay-easyや手形割引に対応していない点はネックです。使いやすい銀行を探している法人には、あまり向いていないといえるでしょう。
おすすめスコア:4.19(2025/07/09時点)
当日振込の時間が長いのが魅力。他行あての振込手数料も割安
「ゆうちょ銀行」は、全国の郵便局に営業拠点を持つ実店舗型の銀行です。法人向けネットバンキングサービスである「ゆうちょBizダイレクト」を展開しています。23:30まで残高照会や入出金明細の照会などを利用可能です。とくに、入出金明細は15か月分の情報が確認できるので、社内のお金の移動を頻繁に確認したい法人には便利な機能といえます。検証では、当日振込可能時間は23:30まで可能な点で高い評価を獲得しました。有料ではありますが口座振替や総合振込に対応しているので、資金移動の多い会社でも不便に感じることは少ないでしょう。夕方以降も気軽に利用できる法人口座を探している法人には、検討の価値ありといえるでしょう。また、振込手数料も平均以上の成績でした。他行あての振込なら165円と、比較した法人口座の平均より安く取引可能です。ネットバンキングは契約料こそ5,500円と高めなものの月額利用料は550円と一般的な水準なので、取引コストの安い実店舗型の銀行の法人口座を探している法人には検討の価値ありといえます。
おすすめスコア:4.01(2025/07/09時点)
使いやすさは一般的な水準。高コストで経費削減には不向き
「みずほ銀行」は、実店舗型の銀行で「みずほビジネスWEB」というネットバンキングサービスを提供しています。特徴は、口座開設した顧客同士のコミュニティサービスを展開している点です。無料会員と有料会員に分かれており、有料会員だとオフィス用品の割引サービスを受けられるうえ、弁護士をはじめ専門家への無料相談ができます。起業したてのビギナー経営者でも手厚いサポートを受けられるのは、大きなメリットです。検証では、使いやすさが一般的な水準でした。総合振込を無料で使え、でんさいネットを利用した資金調達も可能です。当日扱いでの振込も23:59まで可能なので、近年騒がれたシステム障害がなければ使いやすい法人口座といえます。しかし、コスト面は振るわない成績です。ネットバンキングの月額利用料が3,300円、他行あての振込手数料が3万円未満なら490円・3万円以上なら660円と、いずれも比較した法人口座の平均より高めな点がいまひとつな成績の要因といえます。経費削減を考えている法人には、慎重な判断が必要な法人口座といえるでしょう。
おすすめスコア:4.0(2025/07/09時点)
使いやすさは平均レベル。振込手数料が高めな点はネック
「三井住友銀行」は、メガバンクの一角で全国に営業拠点を持つ実店舗型の銀行です。「Web21」という法人向けネットバンキングサービスを提供しています。「Web21」は4つのコースに分かれており、今回は2番目にグレードの低いデビュータイプでの機能やコストを検証しました。なお、WEBで申し込める三井住友銀行の法人口座サービスはTrunkのみで、こちらの法人口座は店頭での申込に限定されます。検証では、使いやすさが申し分ない水準です。公共料金や税金をネット上から決済できるPay-easyに無料で対応しており、でんさいネットを使って資金調達ができます。その上、当日振込も23時59分まで可能なので、公共料金・税金の支払いや急な支払いに対応可能な法人口座といえるでしょう。一方で、コスト面は低評価でした。ネットバンキングの月額利用料が2,200円で、振込手数料が同一行・他行あて問わず発生する点がネックです。手数料の金額も比較した法人口座の平均より高いので、コストを抑えて取引したい法人には向かない法人口座といえます。
おすすめスコア:3.99(2025/07/09時点)
振込手数料は高評価。Pay-easyを使えないのはネック
「SBI新生銀行」は、北海道・東京・大阪・愛知・福岡に法人向けの営業店舗を持つ実店舗型の銀行です。「SBI新生コーポレートネットサービス」という法人向けネットバンキングサービスを提供しています。照会専用サービス・振込振替サービス・フルサービスと3つのコースに分かれていますが、照会専用サービスだと振込や振替はできないので注意してください。今回は、フルサービスでの機能やコストを検証しました。検証では、振込手数料が高評価を獲得しました。同一行内の振込であれば手数料が発生せず、他行へも3万円以下なら220円と比較した法人口座の平均より割安な点が高評価の要因です。ネットバンキングの利用料は月額3,300円と割高ですが、資金移動の多い法人なら検討の価値がある法人口座といえます。一方で、使いやすさは振るわない結果でした。とくに、Pay-easyやでんさいネットに対応していなかった点がネックです。当日扱いで振り込める時間も18:00までと長くはないので、使いやすい法人口座を探している法人にはあまり向いていないといえるでしょう。
監修者:伊藤亮太(Ryota Ito)(ファイナンシャルプランナー)
ガイド:大島凱斗(元銀行員/マイベスト クレジットカード・ローン・証券・保険担当)
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