● グローバルのDeFi(分散型金融)のTVL(預かり資産)は、10カ月ぶりに1000億ドルを下回り、2025年10月のピークから800億ドル超を失った。
● Rippleは、SecurosysおよびFigmentとの提携を通じて、機関投資家向けカストディとステーキングを強化。
● XRPL上のDeFiプロトコル、Firelightのコナー・サリバン氏は、AIエージェント向けの保険カバーが、2026年にかけてXRPLおよびDeFiへの参加を再活性化させる可能性があると述べた。

DeFiが縮小するなか、Rippleはカストディとステーキングを強化

XRP価格は2月12日、1.40ドルを下回って推移し、月初来で12%下落した。マクロ経済および地政学的な圧力が、引き続き暗号資産(仮想通貨)市場の重しとなっている。

価格の弱さはオンチェーン参加の減少にもつながっている。DeFiLlamaのデータによると、XRPの基盤ブロックチェーンであるXRPL上のTVLは2025年7月に約1億2000万ドルでピークを付けた後、12月には6200万ドルまで下落。1月6日に一時8050万ドルまで反発したものの、本稿執筆時点では4750万ドルまで再び低下している。

alt 〈XRPL上のDeFi TVLは、1月6日から2月12日にかけて8050万ドルから4750万ドルへ減少|DeFiLlama〉

XRPLにおけるDeFi参加の減少は、市場全体の動向を反映している。グローバルでのDeFiのTVLは現在950億ドルまで落ち込み、2025年4月以来の最低水準となった。2025年10月のピーク、1710億ドルからは800億ドル超を失っており、過去5カ月で世界のDeFi資本基盤は約45%が縮小したことになる。

alt 〈グローバルでのDeFiのTVLは、2026年10月の1715億ドルから2月12日時点の950億ドルへ減少|DeFiLlama〉

DeFiの勢いが縮小する中でも、Rippleは機関投資家向けインフラの拡充を続けている。2月10日、RippleはSecurosysおよびFigmentとの新たな戦略的パートナーシップを発表し、エンタープライズ向けカストディおよびステーキングの導入加速を目指すとした。

Securosysとの統合により、RippleはCyberVault HSMおよびCloudHSM機能を提供する。これにより、銀行やその他の機関投資家は、オンチェーン取引の実行や資産のステーキングを完全なカストディ体制の下で、各法域固有のコンプライアンス基準を満たしながら展開できるようになる。

また、RippleはFigmentとも提携し、規制対象の機関投資家がイーサリアムやソラナなど主要なPoS(プルーフ・オブ・ステーク)ネットワークにおいてステーキングを提供できるようにした。

これは数日前に公開された「Institutional DeFi roadmap」に続く動きであり、XRPLの最新戦略として、日常的な機関投資家のユースケース拡大を目指す方針を示している。

XRPL上のAIエージェント保険と予測市場が2026年のDeFi回復を支える可能性:Firelight幹部

規制準拠型のカストディおよびステーキングの枠組みを推進するRippleの取り組みは、地政学的変動の中で流動性の集約が難しくなっている市場環境において、機関投資家の積み上がる準備資産を利回り創出資産へと転換することを狙うものだ。

独占インタビューで、XRPLブロックチェーン上に構築されたDeFiプロトコル、Firelightの最高戦略責任者であるコナー・サリバン氏は、マクロ主導の弱気相場が続く中で高まるステーキングパフォーマンスへの懸念について見解を示した。あわせて、AIエージェント、予測市場、DeFi保険といった新たなテーマが与える潜在的影響についても語った。

ステーキングと分散化のパフォーマンス格差

──2026年においてステーキング利回りを提供するネットワークであるETH、SOL、BNB、ADAは、BTC、BCH、XMRのような無利回りまたは低利回り資産を下回るパフォーマンスとなっている。今サイクルでは、利回りよりも分散性の方が強固な堀(モート)となっているのか?

ステーキングから得られるリターンは、ボラティリティに比べると小さく、トークンの新規発行(エミッション)、アンロック、プロトコルやバリデーターに伴うリスクによって相殺される傾向にある。そのため、資金フローがリスクオフに転じた際、価格を安定的に支えるには不十分だ。この局面では、市場は「信頼できる中立性」(検閲耐性、単純なマネタリーナラティブ、機関投資家向けインフラ)により高いプレミアムを与える傾向があり、利回りの有無にかかわらず、最も分散化され、理解しやすい資産に価値が集中している。

──XRPは歴史的に無〜低利回り資産だが、Firelightはどのように価値を創出するのか?

XRPはこれまで、高速かつ低コストで送金できる決済用途に強みがあった。一方で、保有しているだけでは利回りを生まない資産だった。

Firelightは、XRPを“保険の担保”として活用できる仕組みを提供する。具体的には、保有者はXRPをFlare上で「FXRP」に変換し、それをカバーボールト(保険プール)に預け入れる。カバーボールトとは、DeFiプロトコルで発生するスマートコントラクトの不具合やハッキングなどの損失に備えるための準備金プールのこと。いわば、DeFi向けのオンチェーン保険の原資を積み立てる箱のような仕組みだ。

このプールに預けられたXRPは、DeFiプロトコルに対する「補償の裏付け資産」として機能する。そして、その保険を購入するプロトコル側が支払う手数料が、ステークしたXRP保有者に分配される

ステーキングはマクロ主導の市場リスクに対する有効なヘッジか

──ステーキングは長らく、防御的メカニズム、つまり、ボラティリティを相殺する利回りとして位置づけられてきた。しかしマクロショック時には、ステーキングトークンはより大きく下落し、回復も遅れている。2026年において、ステーキングはボラティリティヘッジとして有効なのか?

ステーキングはロックアップを促し、バリデーターのインセンティブを整合させることで、短期的な売り圧力を軽減する可能性はある。しかし利回りは広範な保有者層に分配され、リテールが容易にアクセスできる報酬は、下落局面で売却されやすい。

ステーキングは主にセキュリティメカニズムとして捉え、より利回り重視の機会は他で探す方が明確だ。

──DeFiはマクロ経済リスクをどのように相殺できるか?

DeFiは、資産価格の上昇のみに依存しない利回り機会を提供することで、マクロ経済リスクの影響を和らげる可能性がある。その利回りは、相場下落時の影響を緩和する「キャリー」をもたらし得る。ただし、DeFiはスマートコントラクトの失敗やレバレッジといった独自のリスクも伴うため、最も安全な戦略の選択が重要となる。

──DeFiは暗号資産詐欺に独自の解決策を見出せるか?

DeFiは詐欺やエクスプロイトに対する独自の防御策を構築できるが、より広範な普及には、リスクを理解しやすくし、保険をかけやすくすることが依然として重要だ。

大きく欠けているのは、ユーザーがスマートコントラクトのエクスプロイトや関連する失敗に対する保護を購入できる、シンプルな「カバー」という基本機能である。これは、パーミッションレスなイノベーションを損なうことなく、DeFiをより安全なものにする可能性がある。Firelightの保険カバーは参加リスクを低減し、XRPのような低利回り資産にとって価値ある利回り戦略を支える可能性がある。

AIエージェント、オートメーション、ステーキングの未来

──AIエージェントはステーキング行動を変えるか。自動リバランス、利回りアービトラージ、さらにはAIによるバリデーター選択などが進む可能性はあるか? それは権力の集中や分散性のさらなる低下につながるのか?

AIはすでに利回り戦略の発見やリスク自動化を改善しており、AIエージェントが利回り創出のためにステーキングメカニズムを活用すれば、ステーキングのあり方を再形成する可能性がある。一方で、多くのシステムが類似の判断を行った場合や、ハルシネーションのようなエージェント主導の誤りが損失を引き起こした場合、共通の失敗点が生じるリスクもある。

こうしたAI特有のリスクも、将来的には保険でカバーできる可能性がある。

保険(カバー)の仕組みが高度化すれば、Firelightのようなプロトコルは、AIエージェント特有のトラブル──例えば、誤った判断やバグによる損失──が発生した場合に発動する補償条件(トリガー)を設けることができる。

その際の補償原資は、あらかじめステークされた資産(XRPなど)から支払われる。つまり、AIが原因で損失が発生した場合でも、オンチェーン上で事前に積み立てられた準備資産によって補填される仕組みだ。

これにより、機関投資家は「AIが誤作動したらどうするのか」という不安を一定程度抑えながら、AIエージェントを活用できるようになる。つまり、AIの自律性という強みを生かしつつ、そのリスクを事前に管理できるようになる。

ステーキング、予測市場、資本効率

──予測市場は、かつてステーキングやDeFi利回りに向かっていた投機資本を吸収している。資金の使い道が「利回りを得ること」から、「特定のテーマや出来事に賭けること」へと変わってきているのか? ステーキングはそうした流れとどう向き合うのか?

予測市場が注目を集めるのは、正しい判断をした場合に流動的な上昇余地を提供するためだ。そのためカバーが重要となる。カバーはDeFiの失敗確率とコストを価格化し、不確実性を明示的なプレミアムへと転換する。カバーがあれば利回りはリスク調整後で比較可能となるが、なければ資本はエグジットが明確で、リターン構造が分かりやすいエクスポージャーを選好する傾向がある。

──DeFiでは、エクスプロイトやスマートコントラクトの失敗により数十億ドルが失われてきた。なぜ保険やカバレッジはTVLの拡大と歩調を合わせて拡大しなかったのか?

DeFiのTVLの爆発的成長は、堅牢なリスク管理ツールの整備を上回るペースで進んできた。従来型の保険モデルはオンチェーン環境にうまく適合しない。中央集権的で、遅く、不透明だからだ。

数十億ドル規模の価値を積み上げるプロトコルが存在する一方で、カバレッジは、分散化リスクのリアルタイム評価の難しさ、引受における資本効率の課題、保護対象資産の価値を損なうことなく請求を裏付けるための非相関準備資産の不足といった問題により、拡大が遅れてきた。

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