繊維・素材メーカーでビットコイン戦略企業の北紡は17日、暗号資産交換業者のSBI VCトレードと連携し、ビットコイン(BTC)の取引・保管体制を強化すると発表した。同時に、ビットコインの取得方針を変更し、より戦略的な保有体制へ移行することを明らかにした。同社は12日にBTC追加取得を実施しており、今回の発表はその延長線上にある体制整備と位置付けられる。
北紡の発表によると、同社はこれまで、国内暗号資産交換業者を通じて段階的にビットコインを取得してきたが、取引規模の拡大や執行体制の高度化を見据え、大口取引に対応した取得・管理体制を整備する必要があると判断した。具体的な提携先としては、SBIホールディングス傘下の暗号資産交換業者であるSBI VCトレードが提供する法人向けプラットフォーム「SBIVC for Prime」を活用する。
この体制では、複数の購入方法やOTC取引(店頭取引)といった法人向け手法を選択可能とし、保管や運用の安全性を高めるとされる。また条件次第で法人課税の適用除外に向けた枠組みも活用できるサービスも一部含まれている。こうした仕組みは、従来の「日々BTCを積み増す」戦略から一段進んだ制度面の構築といえる。
これに先立ち、同社は12日時点で累計保有量を約14.66BTCへと増やし、時価ベースで2億3768万4784 円まで保有を拡大していた。
制度強化の事実そのものは市場にポジティブ要因として受け止められ得るが、実際の株価動向は必ずしもビットコイン価格と一致していない。
直近の株価推移を見てみると、北紡株は2026年2月12日の終値138円に対し、翌13日の終値は131円と続落した後、2月16日には126円まで下げ幅を広げた。さらに17日終値は124円と、短期的には弱い動きが続いた。
一方、ビットコインのドル建て価格は同時期に反発基調で、2月12日頃は約6万6000ドル前後で推移していたのに対し、17日には約6万8000ドル台まで値を戻した。投資家心理としては、BTCの上昇基調と株価の動きが必ずしも同一方向に連動していないことが示された格好だ。
こうした逆行現象は、小型株としての需給面の影響や、市場全体のリスクオフ局面が続いたことによる短期的な売り圧力が影響した可能性がある。暗号資産価格自体が高いボラティリティを持つ一方で、株式市場では別途金融政策や世界経済の見通しを織り込む動きが進んでいる点も影響要因とみられる。
北紡の取得方針見直しは、単なる取得量の拡大ではなく、大口取引対応のための制度面整備という観点で評価されている。しかし、投資家が注視すべき点も残る。
まず、ビットコイン価格が今後も高いボラティリティを維持する場合、四半期ごとに実施される時価評価に伴う含み損益の変動が財務数値に波及する可能性がある。同社は2026年3月期の業績予想にはビットコイン関連影響を織り込んでいないが、将来的な価格変動リスクは投資判断の重要な要素となる。
また、制度的枠組みが強化されても、株価に反映されるかどうかは、投資家の期待と実際の事業成果とのバランスが問われることになろう。取引体制の高度化が財務上の安定化や事業収益への寄与につながるか否かは、今後の開示や実行状況を観察する必要がある。
金融市場全般では、米国の利上げ観測やインフレ動向、為替・株式市場のセンチメントが引き続きリスク資産に影響を与えており、暗号資産関連の動きもその影響圏内にある。このため北紡株の中長期的な動向を判断する上では、BTC価格だけでなく経済指標やマクロ動向との相関も併せて分析する必要がある。

