米暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケン(Kraken)を運営するペイワード(Payward)が、同社銀行子会社のクラーケンファイナンシャル(Kraken Financial)が米連邦準備制度理事会(FRB)マスター口座を取得したと3月4日に発表した。
この承認によりクラーケンファイナンシャルは、米国のデジタル資産銀行として初めて、米連邦準備制度の決済インフラへ直接アクセスする権限を持つ金融機関となるという。
FRBマスター口座とは、金融機関がFRBに直接保有する口座のことで、銀行間決済ネットワークなど米国の主要決済インフラへ接続するための仕組みだ。
通常は暗号資産取引所を含めた企業や金融サービス事業者が米ドル決済を行う場合は銀行を通じて送金を処理する必要がある。しかしFRBマスター口座を保有する金融機関は、米国の銀行間決済ネットワーク「フェドワイヤー(Fedwire)」などに直接接続できる。そのため今回の承認によりクラーケンファイナンシャルは、パートナー銀行を介さずに米ドル決済を処理できるようになるという。
ペイワードおよびクラーケンの共同CEOであるアルジュン・セティ(Arjun Sethi)氏は同口座取得により、「機関投資家顧客の法定通貨の資金移動をより迅速かつ効率的に処理できる」と述べた。
クラーケンファイナンシャルは米ワイオミング州で認可された特別目的預託機関(Special Purpose Depository Institution:SPDI)として運営されている銀行で、顧客の法定通貨預金の100%以上に相当する流動資産を保有する完全準備モデルを採用している。
今回の承認は、5年以上にわたる規制当局との協議や審査を経て実現したものだという。クラーケンファイナンシャルは今後、段階的に機能を導入し、まずはクラーケンの機関投資家顧客の活動を支援する用途から開始する予定とのこと。
また同社は今後も米連邦準備制度およびワイオミング州の規制当局と連携しながら決済機能を拡張し、デジタル資産と伝統的金融を接続するインフラ構築を進めていくとしている。
FRBマスター口座を巡っては、制度の見直しに関する議論も進んでいる。FRB理事のクリストファー・ウォラー(Christopher Waller)氏は今年2月、機能を限定した「スキニーマスター口座(skinny master account)」と呼ばれる簡易版制度の導入を検討していると海外メディアが報じている。
報道によれば同制度では、残高への利息付与やFRBの貸出制度へのアクセスを認めないなど機能を限定する一方、金融機関がFRBの決済インフラへ接続できる仕組みを提供することが想定されているという。
なお、海外暗号資産メディア「ディクリプト(Decrypt)」の報道によると、今回のクラーケンファイナンシャルのマスター口座は一部機能が制限されている可能性があるという。例えば準備金への利息付与が認められていないとのことだ。一部では、FRBが検討しているスキニーマスター口座と呼ばれる簡易版制度に近いものではないかとの指摘も出ている。
参考:クラーケン・Decrypt
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